「ポジショニングってよく耳にするけど、どう使えばいいのか分からない…」
新人マーケターが直面するであろう、こんな悩みにお答えします。
INDEX
- ポジショニングとは?
- ポジショニング・マップを使おう
- ポジショニングとブランディング
僕は現在、広告会社のコミュニケーションプランナーとして働いています。
この業界に入ってから、周りの人が当たり前の様にポジショニングを使っている一方で、そのやり方についてきちんと教えてくれる人はいませんでした。
きっとあなたも同じ様に悩んでいて、ここにたどり着いたのではないでしょうか?
そんなあなたに少しでもポジショニングを使いこなせるようになって欲しいと思い、僕がこれまで色々な書籍を読んで、試行錯誤して学んできたことを簡単に解説したいと思います。
それでは早速参りましょう。
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ポジショニングとは
ポジショニングとは「生活者の頭のなかに、自社に優位な位置取りをつくり出すこと」と言えます。
他のライバル商品・サービスとの「差別化」であり、その先に新しいカテゴリーを作り上げる「独自化」を図るための戦略ですね。
目標は○○と言えば□□(自社の商品・サービス)と、お客さんに思って貰うこと。
Aの商品はこんな感じだけど、Bの商品はこんな感じ、Cの商品はこんな感じ…と位置をはっきりさせることで自社と他社がどう違うのかをはっきりさせ、打ち出すコミュニケーションの方向性を決めたりします。
ポジショニングが上手くいっている例
日産のプリウスなんかはポジショニングが上手くいっている事例なんじゃないかと思います。
エコ意識のニーズに沿ったエコカーと、走行性のニーズに沿ったスポーツカーの両方を満たす“ハイブリッド車”というポジションを作り上げています。
プリウスと言えばハイブリッド車ですし、ハイブリッド車と言えばプリウスと言われるほどです。
他のハイブリッド車を探すときも、“プリウスみたいな車”と、商品名がカテゴリー名の様に使われているのも特徴でしょう。
こうなるとマーケティング上でかなり優位に立つことが出来ます。
ポジショニングは業種や商品・サービスを問わない
先ほどはクルマを例にとって説明しましたが、ポジショニングはどんな業態・ジャンルでも使える、基本的なマーケティング戦略となります。
化粧品などの消耗品もそうですし、WEB上で完結するようなサービスでも、ポジショニングは有効です。
商品やサービスを選んで貰う上で、自社以外の選択肢が存在する限りは、ポジショニングを意識するとよいでしょう。
ポジショニングマップを使おう
さて、実際にマーケティング・コミュニケーションにおけるポジショニングを考える時、ポジショニングマップというものをよく使います。
XY軸で4つにエリアを区切った図を使って、ライバルと自社の位置関係を明確にしようとする下記の様なマップです。
ポジショニングマップは、生活者の頭の中の位置取りを見える化する上でとても便利ですので、ぜひ使えるようになりましょう。
4象限で切り分けるポジショニングマップ
実際に手順をご紹介します。
基本的な流れは下記の通りです。
- 自社を含めたライバル(競合)商品をいくつか列挙する
- XY軸にそれぞれ対立した競争軸を書き入れる
- 競争軸をもとに自社とライバル商品・サービスを書き入れる
ひとつづつ見ていきましょう。
競合商品を列挙する
自社のライバルとなりそうな、いくつかの商品・サービスを列挙します。
競合としての選定軸はおもに下記2点
- ターゲットが似ている
- ベネフィットが似ている
ベネフィットとは、商品・サービスを使ったり手にすることで得られる満足感のこと。
ベネフィットは主に下記の様な分類があります。
- 金銭的な価値(高い、安い)
- 機能的な価値(操作が簡単、軽い)
- 審美的な価値(カッコいい、かわいい)
- 感情的な価値(ほっとする、楽しい)
- 社会的な価値(自慢できる、褒められる)
- 精神的な価値(勇敢、誠実、正しさ)
上記のポイントを参考にしながら、ターゲットとベネフィットが類似していると思われるライバル商品をいくつかピックアップしましょう。
XY軸にそれぞれ対立した競争軸を書き入れる
次に、XY軸に競争軸を書き入れていきます。
クルマを例にすると、
X軸:見た目がかわいい⇔見た目がカッコいい
Y軸:自慢するため⇔自分が楽しむため
みたいな感じです。
実はここがポジショニングの一番の肝の部分。
いかに自社に優位な競争軸を発見できるかが、ポイントとなります。
注意してほしいのは以下のことです。
- 出来るだけ180度逆だと思える競争軸にすること
- X軸とY軸では似たような切り口にしないこと
- 生活者視点での認識をもとにした軸にすること
- 機能ではなく情緒的・感情的な価値観を設定すること
ポジショニングマップに、自社とライバル商品を配置する
ポジショニングマップが出来たら、実際に自社とライバルの商品を配置してみましょう。
やってみると自社のすぐ近くにライバル商品が来てしまったりすると思います。
その場合はまた別の競争軸を設定して、もう一度配置しなおしてみましょう。
このトライ&エラーを繰り返して、最終的に自社の周りにライバル商品がいないポジショニングマップを完成させることが目標です!
上手く自社に優位なポジショニングマップが完成したら、そのポジションを訴求するためのコミュニケーションを考えていきましょう。
2項対立で切り分けるポジショニングマップ
実際に4象限でポジショニングを考えると、どの競争軸を検討してもライバルと違いを出すことが出来ない場合が結構あります。
そんな時に使えるのが2項対立でポジショニングを考えるやりかたです。
やりかたは至極単純。
- ライバル商品を選定する
- 負けている競争軸を考える
- 勝てる競争軸を見つける
この競争軸では負けるけど、この競争軸なら勝てますよね!という文脈を作ればOKです。
ちょっとイメージ図を作ってみたので、参考にしてみてください。
「人気のエリアとしてのポジション」を、2項対立でつくっています。
このように、4象限に切り分けるポジショニングよりもライバルとの違いが明確になるため、コミュニケーションの方向性も明確に設定することが出来ます。
ポジショニングとブランディング
ポジショニングはブランディングと組みあわせることが多いです。
上手く自社に有利なポジションを見つけても、そのポジションを認知されなければ意味がありません。
また、美味しいポジションはすぐに真似され、追随されます。
そのため訴求したい良いポジションを見つけたら、「そのポジションと言えば自社商品である」と生活者に思って貰うために中長期的なコミュニケーションを通して、ブランディングすることが重要です。
ポジショニングについて学べる書籍
ポジショニングについて詳しく学びたい場合は下記の本がおススメです。
全部で3冊ありますので、順にご紹介しますね。
USP ユニーク・セリング・プロポジション 売上に直結させる絶対不変の法則
ポジショニングの歴史をさかのぼると、ロッサ―・リーブスが提唱したUSP理論にたどり着きます。
まずはUSPについて理解したうえでポジショニング戦略を勉強したほうが、どうして今ポジショニングが有用なのかを理解できますのでおススメです。
モノと情報が氾濫する現代社会で「売る」ために最も大切な事が分かる、USP提唱者による唯一の教科書として一度は目を通しておきましょう。
ポジショニング戦略[新版]
世界中で30年間読み継がれる、マーケターのバイブルです。
世界の有名企業の事例も多数掲載されており、間違いなくおススメできるコミュニケーションの必読書です。
あのフィリップ・コトラーも序文を寄稿していることからも、この書籍の信頼度が分かってもらえることでしょう。
手書きの戦略論 「人を動かす」7つのコミュニケーション戦略
元博報堂の磯部光毅さんが執筆した、マーケティング・コミュニケーション戦略を体系的に学べる最高の1冊。
今回ご紹介したポジショニングも含めて、全部で7つの戦略論についてまとめられています。
僕はこの本を何回も読んでマーケティング・コミュニケーションについて勉強しました。
個人的には一番のオススメ書籍です。
さいごに
ポジショニングについて、少しは理解して貰えたでしょうか?
全くわからん!という方はすみません。僕の力不足です…。
ぜひ先程ご紹介した本を併せて読んでいただければと思います。
ポジショニングは基礎でありながらとても奥が深い戦略で、この記事で触れたことはほんの一部分にしかすぎません。
ぜひマーケティング・コミュニケーション戦略の入り口としてポジショニングを楽しんでもらい、その先にある戦略へと理解を深めていって欲しいです。
僕のTwitter(@marugomegannba)でもマーケティング・コミュニケーションについても情報を発信していますので、是非フォローしてください!
それではまた。
Let's studying..!!