マーケティング、広告、コミュニケーション業界の初心者の方のよくある悩み
「ブランディングってなに?」
「どうやってプランニングすればいいの?」
今回は、こんなブランディングについての悩みにお答えします。
INDEX
- ブランディングとは
- ブランディングの歴史
- ブランディングを意識したプランニングのポイント
- ブランディングの入門書
僕は現在広告会社でコミュニケーション・プランナーとして働いています。
もちろん着任当初は、ブランディングなんてなんとなく聞いたことがあるくらいで、実際に何をどうすればいいのかさっぱりわかりませんでした。
僕の様に、新人マーケターが道に迷って欲しくない。
そんな想いから、奥の深いブランディングへの分かりやすい入り口を作りたいとこの記事を書くことにしました。
是非入口に立って、ブランディングを楽しみましょう!
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ブランディングとは
ブランドは「~っぽさ」を生活者の頭の中に作り上げる戦略。
例えばスターバックスは店舗やSNSでの投稿など細部のコミュニケーションに至るまで、おしゃれで洗練された雰囲気を作り上げていますよね。
だから、TwitterやInstagramなどでSNS映えする新商品の写真投稿を見ても、「あ、なんかスタバっぽいな」と思うのです。
アップルもそう。
CMやポスター、店舗内装やスタッフの対応の一つひとつから、分かりにくい操作方法や利便性などではなくあくまでも「感覚的に操作出来て、フレンドリー、そしてクリエイティビティ溢れる」ブランドイメージを訴求しています。
この「~っぽさ」を生活者に理解して貰うことで、「~っぽいから、好き」という、積極的にそのブランドを選択したくなる「好意」を生み出すことを目的とします。
ブランディングの歴史
ブランディングの戦略論の歴史は大きく次の4つの流れを経てきました。
- ブランドイメージ論:広告で伝えるイメージをブランドと考える
- ブランドエクイティ論:ブランドに関する記憶(知識・感情)という資産
- ブランドアイデンティティ論:ブランドに込めれらた意味や想い、提供価値を定義する
- ブランドエクスペリエンス論:感覚・感情を刺激する「経験」がブランド
詳しい説明は割愛しますが簡単に変遷をご説明します。
最終的には、「経験」が重要視されるように
ブランドイメージ論では主にTVCMなどマス広告を通して伝えるイメージをブランドと捉え、生活者に抱いて欲しいイメージを広告主目線で設定し、一方的に伝える戦略が台頭していました。
しかしブランドエクイティ論によって、ブランドは広告で伝えるイメージではなく、ブランドに関するあらゆる知識・感情を無形の資産として捉えなおされることとなりました。
広告主目線でイメージを押し付けるのではなく、生活者目線でブランドがどう捉えられているかを重視するようになったのです。
そしてブランドアイデンティティ論で、ブランドのアイデンティティを規定することで一貫性を持たせたプランニングを可能にしようとする動きが活発になりました。
効率的に生活者に訴求しようとするアメリカらしい発想だと思います。
もちろんこの理論も日本に輸入され、電通の発表した「ハニカムモデル」等の様にローカライズされたフレームワークとして浸透しました。
その後ブランドエクスペリエンス論が主流になると、いわゆる視覚・聴覚に偏ったマス広告などではなく、体験・経験することで得られる感覚や感情への刺激を重視するようになりました。
これまでのブランディングでは「認知」→「経験」という流れだったものが、「経験」→「認知」という流れに切り替わり、ブランドのイメージをマス広告で訴求するだけでなく、リアル空間や生活者の全ての接点における経験を統合的につなげようとする取り組みが活発になったのです。
ブランディングを意識したプランニングのポイント
さて、ブランディングの歴史がぼんやりと分かったところで、実際にいまプランニングをする際に考えるべきポイントについてお話します。
ポイントは下記の4つです。
- ブランドを常にアップデートする
- ブランドが持つミッションとビジョンを明確にする
- 体験価値を意識した設計をする
- ブランドパーソナリティを固める
ひとつずつ解説します。
1. ブランドを常にアップデートする
ブランドは絶えず生活者とコミュニケーションをとることで、生活者の頭の中にある「~っぽさ」を守っていく必要があります。
ただ、それ以上に大切なのは常に“今”に合ったブランドコミュニケーションにアップデートしていく能動的なブランディングをすることが大切です。
理由は主に下記2点
- 競合が様々な新しいコミュニケーションを開発する中で、自分たちのブランドが相対的に古臭く感じられてしまうから
- 記憶は劣化していくものだから
同じコミュニケーションを続けていても、“飽き”が来てしまうから
実際のブランド運用では数年に一度その価値規定を見直すことがありますが、元博報堂のコミュニケーション・プラナーである磯部光毅さんによると、その際には「ちょっとやりすぎかも」と思うくらいの変化(アップデート)をした方が生活者に好まれる傾向が強いそうです。
2. ブランドが持つミッションとビジョンを明確にする
ブランディングを考える際、ブランドエッセンスやコアバリューなど「ブランドの持つ本質的な価値」も大切ですが、もっと重要視したいものがあります。
それは「ミッション」と「ビジョン」です。
ミッションはブランドが社会に対して担う“使命”。
ビジョンはブランドが目指す“理想の姿”
この2点があることで、ブランディング戦略でどんなコミュニケーションをとるべきなのか、何を大切にしなければならないのかが明確になります。
逆にミッションとビジョンがぼんやりしていると、社内でも方向性が共有できず、結果として全く見当違いなコミュニケーションをとってしまうことにもつながりますので、大事にしましょう。
有名な企業のミッションとビジョンについてまとめられたいい記事を見つけたので、是非見てみてください。
3. 体験価値を意識した設計をする
ブランドのミッションとビジョンをチームで共有できたら、次は生活者とのタッチポイントを意識した「体験価値」を見直します。
ブランドエクスペリエンス論が主張するように、今は「体験」こそがブランディングの重要なコミュニケーションです。
- 商品を実際に手に取る店舗はどんな空間にするべきか?
- 商品のパッケージはどんなデザインにするべきか?
- ブランドを訴求するには、どんな体験を提供するコミュニケーションをとるべきか?
リアル空間での体験に関わらず、生活者が自ら参加して体験できるものであればデジタルのコミュニケーションでも構いません。
デジタルを使った「体験価値」を提供するブランディングコミュニケーション
森永製菓のウィダーinゼリーはとてもいい体験価値を提供するコミュニケーションを行っています。
2016年に行われたキャンペーン『フレフレ、部活。母校にinゼリー』が有名で、賞も取っていたと思います。
簡単に説明すると、応援したい高校の部活動にWEB上で投票すると、その部活動に対してウィダーinゼリーを無料で差し入れできるというもの。
OB・OGが持つ母校愛と差し入れというアナログな応援方法を上手にデジタル領域に変換した素晴らしいコミュニケーションですね。
ウィダーinゼリーが、頑張る人を応援するブランドであることが伝わってきます。
このように、どんな体験でブランド像が実現できるかを、あらゆる生活者との接点=タッチポイントを検討し、ブランドを体現していく仕組みを作りましょう。
4. ブランドパーソナリティを固める
いま、ブランドの「人格=ブランドパーソナリティ」が重要視されています。
普段付き合う友人を考えても、その人が「出来るやつ」かどうかよりも「人柄が良い」とか「息が合う」とか、そういった部分が好意を持つポイントになってくると思います。
例えば有名なタニタのSNSは、いわゆる「中の人」が人格を纏った運用を行っているため、とても親しみやすいブランドとなっていますよね。
(参考)タニタ公式Twitter(@TANITAofficial)
- 親しみやすい友達の様な人格
- なんでも教えてくれる学校の先生の様な人格
- ちょっとツンデレな彼女みたいな人格
様々な人格を想定して、生活者とブランドがどんな関係になっていたいかを考えながら、ブランドパーソナリティを固めましょう。
ブランディングの入門書
ここまでブランディングについて簡単に説明してみましたが、いかがだったでしょうか?
ブランディングは本当に奥が深く、本記事で触れた内容はブランディングのほんの一部分すぎません。
もっと詳しく体系的にブランディングについて勉強したいと思う方には、以下の本をおススメします。
全て初心者向けの内容になっているため、非常に分かりやすいです。
デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 「顧客体験」で差がつく時代の新しいルール
戦略コンサルタントの山口義宏さんが書いた書籍です。
ブランディングについて具体的な例を出しながら、再現性を高めるために上手く抽象化してまとめられているため、初心者にはとても分かりやすく楽しみながら読める1冊となっています。
デジタル時代に即したいまの時代に使えるブランディングの考え方や実践方法について、とても勉強になります。
SNS運用担当になった方にも是非読んでいただきたいと思います。
企業を高めるブランド戦略
初心者向けの内容ではありますが、カバーしている範囲も広く、かなり内容は濃いです。
ブランディングは色々な人が色々な解釈をしてなんとなく使っていることが多いですが、一方で体系的に説明できる人はあまりいません。
「ブランドは意図的に育てるもの」という著者の主張は、本記事で説明したアップデートに必要性にもつながるもので、実際のプランニングに使える話が詰まっています。
新人マーケターにとって素晴らしい指南書と言えるでしょう。
手書きの戦略論 「人を動かす」7つのコミュニケーション戦略
元博報堂の磯部光毅さんが執筆した、マーケティング・コミュニケーション戦略を体系的に学べる最高の1冊。
今回ご紹介したブランディングも含めて、全部で7つの戦略論についてまとめられています。
僕はこの本を何回も読んでマーケティング・コミュニケーションについて勉強しました。
個人的には一番のオススメ書籍です。
さいごに
今後このブログでもブランディングについての記事を公開していくつもりです。
もちろん、他のマーケテイング・コミュニケーションについても随時更新していきます。
Twitter(@marugomegannba)でもコミュニケーション・プランナーとしての思考を呟いていますので、是非フォローして情報を共有して貰えたらうれしいです。
それでは。
Let’s studying..!!